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Unit 01 キックオフペーパー: 地方創生と医療・介護の自治体負担

学習院大学経済学部経済学科教授 鈴木 亘 

 東京一極集中を是正し、「自治体の消滅可能性」が指摘される地方の人口減少に歯止めをかけようという「地方創生策」が、安倍政権の新たな経済政策としてスタートした。現在、地方自治体への新たな交付金創設、東京から地方に本社機能を移転した企業への税優遇、政府機関の地方移転等が検討・着手されつつあるが、それらの中で最も効果的、かつ現実的な対策が地方への「高齢者の移住促進」である。

 すなわち、現在、都市部に住んでいる高齢者に、まだ元気なうちに地方に移...

Unit 07-B: 保育と少子化対策 ――地方分権でどれだけ少子化対策が可能か

学習院大学経済学部経済学科教授 鈴木 亘 

1.少子化対策には就業機会確保が必要

 「少子化対策と地方創生」のあり方を考える上で重要なことは、地方自治体の少子化対策「単体」で、地方の少子化や人口減少を防ぐことはできないということである。
 結婚した夫婦が子どもを産む選択を行うことは、経済学的には、一種の「耐久消費財への共同投資」と捉えることができる。しかも、この耐久消費財は、この夫婦にしか消費の効用(子育ての喜び)を与えない「売買不可能な特殊財」である。子育てには長期間にわたって少なから...