Columns

Unit05-B: 地方分権と固定資産税:固定資産税の「応益性」を中心として

神戸大学大学院経済学研究科准教授 宮崎 智視 

1.固定資産税の「応益性」について

 地方分権下における自治体の基幹税として固定資産税を用いるべしとの提言がしばしばなされる。例えば,井堀(2007)は,地方の公共サービスの受益を税として反映できるため,固定資産税を地方分権下における有効な税として活用できるとしている。
 この議論は,固定資産税が応益性を満たすことを前提としている。固定資産税の伝統的な帰着論に従えば、土地への固定資産税は全額土地の所有者が負担するとされている。すると、土地へ...